どこか遠くへ
昔のスケッチブックから、作品にはならなかったラフスケッチ。これは坂口尚さんの「野の花」という作品からイメージしたものです。予備校に通う一人の少女が、ある日ふと家を出てしまい、知らない土地の駅にぶらりと降り立つ話です。広い平原に一人腰を下ろし、もはや何の意味も持たない「時刻表」を放り投げて、少女はこんな風につぶやきます・・・
「もう半日も人に会いません。こんな時間があることがたまらなく嬉しいヨ・・・」
学校や会社に通う朝、いつものように家を出てから、ふと、違うバスや電車を乗り継いで、このままどこか遠いところに行ってしまいたい・・・って、思ったことがある人は少なくないのではないでしょうか。 私は思春期の頃とか、いつもそんなことばかり考えていました。勇気がなかったから、家出とかはしなかったけれど。今でもときどきそんな当時の想いが込み上げてきて、ぶらりと遠くに行ってみたい気持ちになることがあります。