この絵はもう20年くらい前、私が大学2年生の時に描いたものです。展覧会の時に一回出しただけで、その後一度も表に出さなかったので、私の古い友人達もたぶん見覚えないと思います。あまりに出来が悪かったのでその後ちょっとづつ手を入れてみたのですが、結局完成しなかった絵です。ひさしぶりに見返してみたら、まぁ若い頃の絵なんだからまぁいいかって気になったので、アップしてみます。
言わずと知れたグリム童話の「ラプンツェル」を題材にした絵です。この頃は「グリム童話」と「ラファエル前派」に、自分の興味が集中してました。バーン・ジョーンズやジョン・エヴァレット・ミレー、ウォーターハウスなんかの影響を受けまくってました。この頃の絵の方が良かったって言ってくれる人も、私の周りにいます。いつかまとまった時間をつくって、グリム童話シリーズを描いてみたいって考えがあるのですが。いつになるやら。
ちなみに「ラプンツェル」の話ですが、改稿を重ねた版の「グリム童話集」(第7版が完成形と言われてます)では、王子との密会がバレてしまういきさつが、魔女を髪の毛で持ち上げる時、「王子よりも重い」とラプンツェルがうっかり口を滑られせてしまったからとなっています。しかし初版ではもうちょっと艶かしい内容で、「私の服が小さくなって着られなくなったのはどうして?」と、ラプンツェルが妖精にしゃべってしまうことで、王子との情事が発覚するのです。つまり子供ができてお腹が大きくなった、ということです。グリム兄弟が昔話として採集する以前に、民衆の間で広まっていた元の「ラプンツェル」では、更に艶っぽいことが語られていたようです。ラプンツェルと王子との情事がどんなだったか想像すると、魅力的なヴィジュアルのイマジネーションが膨らみませんか?