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服をつくる

お客さんが、セミオーダーメイドのスーツを販売する事業を新規に始めるにあたり、その業者さん達との打ち合わせの場に私も参加させていただいた。私はその販売用のパンフレットを制作することになっている。5月から受注・販売をスタートさせる予定で、現在は最終的な詰めの段階。これまで、デザインや材料の選定、生産ラインの確保など、その準備に2年もの歳月を経たらしい。

私は服飾の分野には門外漢なので、そのやりとりを端から聞いているだけ。ただ聞いているだけでも、ひとつの服をつくっていくことの大変さを、あらためて知ることができた。印刷の業界と同じで、服をつくる現場はあちこちに分かれているそうで、最終的なものに仕上るまで、たくさんの人が関わる。工場の規模や設備よりも、現場の人達の経験の蓄積や、現場同士をつなぐ了解を築いていくことが、仕上りの質を決めていくようである。多分にアナログの要素が強い。やはり大事なのは「人」の判断ということなのだろう。そういう意味でも、印刷業界とアパレル業界の共通点も伺えて、非常に興味深かった。

服をつくる、カバンをつくる、料理をつくる、本をつくる、映画をつくる、家をつくる・・・・それぞれの世界で、ものをつくることにこだわっている人達がいる。仕事を通じて、そういう世界の一端を垣間見れるのは、本当にワクワクする瞬間だ。ものをつくる現場は、やっぱり楽しい。ただモノを売るのではなくて、その人なりのこだわりを持ってものをつくっている世界に、自分もずっと関わっていけたらなって思う。