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ノーム・チョムスキー

仕事の用件で渋谷に出たのだけど、お客さんの都合で急にぽっかり空いてしまった。仕方ないので何気なく本屋に寄ってみた。何も買いたいものはなかったのだけど、本への誘惑にどうしても勝てず、またあれこれと予定外な買物をしてしまった。前から気になっていた、チョムスキーの著作を2冊。『ノーム・チョムスキー』と『チョムスキー、世界を語る』。それから池澤夏樹の『イラクの小さな橋を渡って』という本も気になったので買っておいた。
多くの人にとってそうだと思うのだけど、今世界で起きていることがどうしても私にはどうしても理解できない。過去の歴史の中で幾度もその間違いに気づきながら、何故今日にいたっても繰り返し戦争状況をつくり出してしまうのか...。その問いに一番ちゃんとした案内を与えてくれるのが、チョムスキーなんだと思っていた。
家に戻ってすぐにその一冊を読み終えたのだけど、明解な言葉で、辛らつに、私たち自身が参加してきた「テロ行為」について言及されていて、強いショックを受けた。だんだん背筋が寒くなって、泣きたい気分になってくる。何かしら急に世界が変わったわけじゃない。ずっと以前から、こうなるべき方向に向かって皆で突き進んでしまったんだと思う。私たち自身が、皆で知らないふりをして。

本当に美しいもの、大事なものは、私たちのすぐ身近にありながら、たいていの場面で私たちはそこから距離を置いてしまっている。本当に忌むべきもの、危険なものは、私たちとは疎遠であるように感じながら、実はそのまっただ中にいるのだ。せめてそのことをもう少し自覚していたい。


『ノーム・チョムスキー』(発行/リトル・モア)は、1〜2時間もあれば読んでしまえる本です。機会があったらぜひ手に取ってみてください。今日に生きる私たちにとって、最低限知っておかないといけないことが語られている本だと思います。