ブルガリアン・ヴォイスの来日コンサートに行ってきた。
会場はお台場のLOVE GENERATION。オリジナル・ブルガリアン・ヴォイスのソリストを中心に、男性ソリスト(1名)とガドゥルガ奏者を加えた総勢13名の編成だった。
ブルガリアン・ヴォイスが話題になり、私たちの間でもCDを回しあって聞いたのは、もう十数年前のこと。私が大学2〜3年生の頃だった。ブルガリアン・ヴォイスの登場は、その頃のひとつの事件と言える程、その神秘的な歌声と音楽性は大きなインパクトをもっていた。
今でこそいろんな国の民族音楽が手軽に聞けるようになったけれど、あの当時は世程その方面の知識がない限り良質な音源に接するのは難しい状況だった。東欧の音楽のことなんて、身近で話題にする人もいなかった。せいぜい「エスニックブーム」と呼ばれた軽薄な流行感覚で、アジアやアフリカの陽気なリズムを取り入れた音楽がつかの間人の注目を浴びる程度だった。それがブルガリアン・ヴォイスの登場により、私たちを囲む音楽状況がずいぶん変わったと思う。ワールド・ミュージックという呼称が一般的になり、今ではCDショップに行けばささやかながらもその類いのものを置くコーナーがある。その影響は計り知れない。
そんな当時のことを思い起こしながらの今日のライブ。彼女達の驚異的な歌声の力は健在で、やはり素晴らしいものだった。CDで聞き慣れた曲を、目の前にいる生身の人間が肉声で発している光景に少し戸惑う気さえした。ただ当時のような新鮮な驚きはなく、何というか、心地よいものに触れていられる安心感という印象だった。思い出のある懐かしい土地に帰ってきたような心地だった。
レストラン&ライブステージという会場だったので、とてもくつろいだ気分でライブを楽しめた。過ぎてしまうのがもったいないような夜…。