深夜のNHK-BSで「オネーギンの恋文」というイギリス映画をやっていた。まったく前知識なしに、途中からぼんやり見ていたのだけど、じわりと心に響いてくる、なかなかいい映画でした。主演はレイフ・ファインズ、リヴ・タイラー。監督はレイフ・ファインズの妹、マーサ・ファインズ。ロシアの文豪プーシキンの原作を映画化したもの。
作品の中で印象的だったのが、主人公=高慢で身勝手な貴族の男が、ヒロイン=田舎育ちではあるが才女で情熱的な女に、本を貸すシーン。ヒロインが「何か本を貸してくださらない?」と男に頼むと、「そうだ、いい本がある。新しく入ったばかりの本だ」といって差し出すのが、ルソーの「新エロイーズ」だったのだ。「新エロイーズ」はルソーの著作の中でもかなり異色な作品。貴族令嬢の娘と、家庭教師との間で交わされる書簡(=恋文)の形式で綴られた恋愛小説。そしてかなり風変わりではあるけれど、ルソーの思想の要が実はそこにあるのではないか、と評されていたりもする。ルソーという人は本当に面白い人で、言ってることがいつもバラバラでとりとめがなく、矛盾だらけ。でもバラバラのような論説が全体としてはなんとなくつながっていて、ちゃんと筋道が通っている・・・という不思議な思想家。だからこそ魅力があって、多くの人を魅了する。私も一番好きな思想家。たくさんの影響を受けた。
昨日友人と飲みながら話をしてるうちに、ひさしぶりにふと、ルソーの名前が出たりした。その後家に帰ってテレビをつけたら、またルソーの名前と出会ったので、なんだかとても不思議な気分。またルソーの本を読み返してみたくなった。途中で挫折してしまった「新エロイーズ」。もう一度チャレンジしてみようかな。
どうでもいいけど、リブ・タイラーって、やっぱりきれいですね。特別好きな顔立ちの女優さんではないのだけど、映画の中ではひときわ美しく輝いて見えます。独特な雰囲気、魅力を持った女優さんだと思います。