先日友人と飲みながら話をしていた時に、ふと『TV版・大草原の小さな家』の話題が出て、ひさしぶりに見返したい気持ちになった。夜中に部屋の奥の収納をかき回して、高校生の頃にビデオで録画してたテープをひっぱり出してみた。かれこれ二十年くらい前のものなので、テープの状態がかなり悪くなっていたけれど、かろうじてまだ再生することができた。今も大事に、私の手許に残っていた数遍のエピソードのひとつが「愛と祈り」だった。
さっそくテープを回してみると、その冒頭のオープニングを見ただけで、急に胸が熱くなってしまった。私はリアルタイムで番組を見ていたわけではなく、見始めた時はもう何度目かの再放送だったと思う。最初は何の思い入れもなくて、あぁ、今週もやっているなぁという程度に、なんとなく見ていたのだけれど、途中から夢中になって毎週欠かさず見るようになった。なにしろ10年以上にわたって続いた長寿番組なので、ストーリーが面白い時期、面白くない時期いろいろあったのだけど、第3〜4シーズンのエピソードが私のお気に入りだ。この頃のエピソードは、心があたたかくなる楽しい話と、ちょっと切なくなる悲しい話と、そのバランスがうまく保たれていたように思う。
「愛と祈り」は第3シーズンに放映された「前編/後編」にわたる長編で、とても見ごたえがあり、『大草原の小さな家』のもっとも評判の高いエピソードの一つだ(…と思う)。長女のメアリーが重い病気で入院し、お父さんはその高い入院費を払うために単身で遠い土地へ赴き、危険な鉄道工事の仕事に就くが---という話。お父さんがトンネル工事の事故で生き埋めになって、そんな状況の中でも娘のことを想って、愛と祈りの言葉をつぶやくシーンは、もう、何度見ても泣けてしまう。ひさしぶりに見返しても、その感動はまったく色褪せない。本当にすごいドラマだったと、あらためて気づかされる。
アメリカの古き良き時代の家族愛を描いたTVドラマ・・・そう言ってしまえば、ありふれたテーマとストーリーなのかもしれない。でもそんな風に割り切って言葉にはできない、何かが、あの作品にはあったように思う。制作者も出演者もみんながあの作品を愛し、良いものをつくりたい、という想いに満ち満ちていたように感じる。それがあの作品の「いのち」のようなものなのかもしれない。だからこそ多くの人に支持され、今もたくさんの人に愛され続けているのだと思う。