部屋の引っ越しをした時に、いろいろと思わぬものが部屋から出てきました。これはそのひとつ。なくしたと思ってた絵がゴミにまみれて出てきました。倉庫代わりに使っていた、半屋外のような場所に置いてあったので、損傷なく生きていたことが奇跡に近かったです。どうしてそんな風にゴミ扱いしていたのか、自分では覚えてないのですが、描いた当時からあまり気に入っていない作品だったので、ぞんざいに扱ってしまったのかもしれません。
これを描いたのは10年くらい前。タイトルは「猫が死にましたので」という、悲しいものでした・・・。この絵を描いた当時、私は絵の方向性をまったく見失っていて、ひどく苦しんでいました。絵以外のことでも、いろいろと思い悩んでいて、私の今までの人生で一番暗い時代だった気がします。すこし、心のバランスを崩していたような。基本的にはずっと能天気に、いいかげんに生きてきた私ですが、まぁ、そんな時代もあったわけです。
そんな嫌な記憶を遠ざけたくて、この絵を無意識のうちに封印してたのかもしれません。絵自体は、別にどうってことないものなんですが、当時の記憶が思い出されるのはやっぱりずっと嫌でしたから。こうやって無意識の心的作用があって物をなくしてしまうのを、フロイトは「錯誤行為」って言ったんでしたっけ。今は、「あぁ、そいう時期もあったなぁ」と、余裕を持って考えることができるのですが。
ひさしぶりにこの絵に向き合って、そんな当時の自分をほろ苦く思い出したのでした。