バルト三国の旅2011(その21) 〜カウナス旧市街、カウナス城

ライスヴェス通りをまっすぐ西に歩いて行って、地下道を抜けるとそこが旧市街。それまで歩いてきたカウナスの新市街とは、がらりと街の表情が変わります。

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カウナスの街の歴史は古く、10世紀にまで遡ります。15世紀にはハンザ同盟都市となり、交易の要として繁栄。その後は列強からの侵攻を受けて街が荒廃してしまいますが、19世紀に鉄道が開通すると諸工業が盛んになり、リトアニア最大の工業都市へと発展します。1920年から第二次世界大戦期までの間は、ポーランドに併合されたヴィリニュスに代わってリトアニアの首都となっていた時代もありました。

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旧市街には、ハンザ同盟都市として栄えた時代の歴史的な建物が、今も数多く残されています。けっして規模は大きくないのだけれど、中世の面影を宿す美しい街並。

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印象に残ったのは、画廊やアート雑貨のお店がたくさんあったこと。アーティストたちに愛されている街なのかもしれません。観光客向けの土産品なども、ヴィリニュスよりカウナスの方がセンス良かったように感じました。

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通りがかりの雑貨屋さんで見つけた、とても素敵なブックマークとカード。イラストがとてもかわいくて、木の素材感も作品にフィットしてます(この作家さんのHPを見つけました→http://www.mediniai-atvirukai.lt)。

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赤煉瓦が印象的なこの風格ある建物は、有名な聖ペテロ&パウロ大聖堂。

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15世紀に建てられた教会で、外観がゴシック建築、内部はバロック様式になっています。教会の内部は壁一面を美しいフレスコ画で飾られ、見事な彫刻が施された祭壇も素晴らしい。

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カナウス城は、13世紀にドイツ騎士団からの侵略を防ぐために建てられた城。現在は塔と城壁の一部が残されただけになっています。塔の上の部分も近年に修復されたようです。

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「異民族のキリスト教化」を掲げて、バルト海沿岸地域へ進出した「北方十字軍」は、遠征当初から本来の宗教的な目的を失っており、その実態は「北方諸国の植民地化」でした。ローマ教皇からお墨付きをもらい、世俗最高権力である神聖ローマ皇帝の思惑とも重なって、征服事業は拡大を続けます。その先鋭に立ったのが「ドイツ騎士団」。13世紀、ハンガリー王国から追放されたドイツ騎士団は、異教徒征伐の命を受けてプロイセンの地(現在のカリーニングラード〜ポーランド北部)に活動拠点を移し、先住民であるプロイセン人を制圧。その後も略奪と搾取を重ねながら莫大な富を築き、「ドイツ騎士団領」という軍事国家を形成します。しかし、周辺諸国の貴族を集めて人間狩りツアーを開催するなど、その残虐きわまりない性質と傍若無人ぶりは、後にローマ教皇の怒りを買うほどでした。

ドイツ騎士団は、リヴォニア(現在のラトヴィア西部〜エストニア南部)を征服していたリヴォニア帯剣騎士団を吸収し、さらに現在のリトアニアの地へと侵攻します。それに対し、ミンダウカス王の元に諸部族が結集してリトアニア大公国が誕生。強大な戦力を形成してドイツ騎士団を押し返しました。その後は互いが侵略行為を重ね、拮抗した戦争状態が続くのですが、同じくドイツ騎士団と領土問題で対立を深めるポーランドとの同盟関係が成立。1385年、ついにリトアニアはキリスト教を受け入れ(当初は形式的なものだったようです)、両国は連合国となってドイツ騎士団と対立します。異教徒との戦いという大義名分を失ったドイツ騎士団は激高し、互いの存亡をかけた総力戦へ突入。そしてポーランド・リトアニア連合は1410年の「グルンヴァルト(タンネンベルク)の戦い」で勝利し、ドイツ騎士団に壊滅的な打撃を与えます。ドイツ騎士団は徐々に衰退しやがて消滅。ポーランド・リトアニア連合国はヨーロッパ最大領土の国へと発展し、その後200年に渡る黄金時代を築くのです。

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ドイツ騎士団との攻防に重要な役割を担ったカウナス城。今では朽ち果てた城壁を眺めながら、そんな歴史の一幕に想いを馳せてみました。

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カウナス城を後にした頃は、いつの間にか陽が落ちていました。旧市街をぶらぶらと歩いて、また行き当たりばったりのレストランに入ってみることに。こういう時はほとんどガイドブックのお世話になることはありません。勢いと勘がすべて。。(^^;)

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中に入ってみると、こじんまりとした店内でしたが、とてもいい感じの雰囲気。地元の常連客が中心のお店のようでしたが、はじめて飛び込んで来た私たちに対しても店員の方はとても親切な対応。そしてワインのメニューがとても充実してるようでしたよ。

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ここで注文した料理は、ポークのソテーとサーモンのタルタルソース添え。もちろん、リトアニアの郷土料理というわけではないのですが、ここの料理は本当に美味しかった(写真ではイマイチに見えるかもしれませんが...)。シェフがとても丁寧に料理を作っているのが伝わってくる感じ。今回のバルト三国の旅の中で、一番美味しかったかも。

「Senamiesčio vyninė(http://www.senamiesciovynine.lt)」というお店です。メインの通りから少し奥まった路地にあるので、ぜひ探してみてください♪〈続〉