旅の三日目。この日は奈良市街地周辺を回る予定だったのだけど、急遽予定を変更して「三輪 大神神社」に行ってみることにしました。飛鳥めぐりをしていたら、やっぱり三輪にも行きたくなってしまったので。。。
パワースポットとして有名な三輪の神社。この時期の観光客は少ないだろうと思っていたのですが・・・駅を降りたら大変な人の賑わい。参道へ続く道にはたくさんの露店がぎっしり並んでいました。あまりの人の多さに面食らってしまったのですが、それもそのはず、この日は毎月開催されている「おついたち参り」の日だったのです。
大神神社への参道。周りにはうっそうとした古木が生い茂り、奥へと進むに連れて、ついさっきまでの喧噪が嘘のように神妙な雰囲気が漂ってきます。
大神神社は日本最古の神社と称されています。何を持って最古とするかは諸説ありますが、この国の神話の成り立ちに三輪が重要な位置を占めたことは確かなことでしょう。大神神社は三輪山をご神体としているので、拝殿のみで本堂はありません。三輪山そのものが信仰の対象なのです。自然崇拝のアニミズムの性格を随所に色濃く残していて、境内全体には独自の気配が漂っていように感じました。
ふと、境内のあちこちにお酒と卵が置かれていることに気づきました。大神神社には蛇信仰があって、蛇は神様の使いまたは化身と考えられているのです。「蛇へのお供えだから、卵とお酒」なのだと、帰りに立ち寄った酒屋さんで教えていただきました。願い事とともに卵をまる飲みしてくれるそうですよ。
三輪山周辺にはたくさんの神社があって、全部回っていたら丸一日あっても足りません。半日程度で三輪のことを知ろうと思っても、土台無理でした...。また仕切り直して、ゆっくりと三輪詣でをしたいと思っています。その時は三輪山にも入山してみたいな。
「大美和の杜」の展望台から見渡す、大鳥居と大和三山。この日はあいにくの曇り空でしたが、晴れていれば素晴しい景観なのでしょう。。
さて、三輪と言えば「三輪素麺」。朝からずっと歩き続けてくたびれたので、友人が教えてくれた三輪素麺の銘店「森正」で昼食をとることにしました。神様よりも、美味しいものへの執着の方が深いので。。(笑)
ここの素麺はとてもきめが細かくて繊細な味わい。左が森正の「にうめん」。シンプルな出汁の加減が素晴しい。右は「釜揚げ」。こちらは太素麺は使用していて、コシがあって食べ応えがある。
そして絶品の手づくり柿の葉寿司! 一口食べると品の良い風味が広がり、そして切れの良い後味。私が今まで食べた柿の葉寿司の中で一番美味しかったな。
再び三輪駅に戻って来た頃は、また小雨が降り始めていました。三輪から桜井に移動して、前夜に奈良町の飲み屋の店主が勧めてくれた聖林寺に行ってみることに。
桜井の駅からバスで約20分。聖林寺は、山村の中にひっそりと佇む小さなお寺。本堂には「子安地蔵大石仏」が鎮座しています。まんまるなお顔で可愛らしい。安産・子授けのお地蔵様として親しまれているそうです。
と言っても、多くの人が聖林寺を訪れる理由は、何といってもそこに保管されている「国宝 十一観音」。その優美さは、一目見て言葉をなくしまうほど。その衣の優雅な曲線。指一本一本の柔らかい動き。穏やかでありながら凛とした表情。なんという美しさ。
アメリカの哲学者フェノロサが岡倉天心らと古仏の調査で訪れたとき、この十一面観音の美しさを絶賛し「ミロのヴィーナスにも匹敵する」と語ったそうです。実像は、写真では伝わらない魅力を秘めています。美しいもの愛する人なら、必ず一度観に行った方がいいでしょう。