【クロアチアの旅(その16):モスタル(その2)】
モスタル2日目。早起きして、朝のモスタルの市街地をぐるりと散策。
まだ早朝の時間なので、仕事に出かける地元の人たちと時折すれ違う以外、観光客らしき人はほとんど見かけない。市街地ではオリエンタル風な建物と近現代の素っ気ない建物が混在しています。まったく異質な世界というわけでもないのだけど、やはりクロアチアの街の景観とは明らかに様子が違っていました。そして通りを歩くうちに、街中のあちこちに紛争の傷跡が数多く残っている光景を目の当たりにしました....
壁には無数の銃弾の跡が生々しい...。全倒壊してしまっている建物もあちこちにあったし、外壁の一部に砲弾による穴があいたままで人が住んでいる住宅棟もあった。この地での戦闘の激しさ、その壮絶な状況を想像すると心が重くなります...。遠い過去の出来事ではなく、ほんの20年ほど前にここで起きた悲惨な現実。そしてその火種は根が深く、一過性のものではない。この光景を目の当たりにして感じたことがいろいろあるのだけど......今もまだ頭の中で整理ができなくて簡単には言葉にできません。できることなら、多くの人に実際にこの地に立ってみてほしいと、切に願います。
前夜には異様な存在感を放っているように見えたモスクに、はじめて足を踏み入れてみることにしました。これは「カラジョズ・ベグ・モスク」。1557年に完成したもので、「ヘルツェゴヴィナで一番重要なモスク」とのこと。ここも戦争で被害を受けて大きなダメージを受けたそうだが、のちに修復され現在の形になっています。
モスク内部は意外にこじんまりと造りで、ちょっとびっくり。思っていたより明るくて、開放的で親しみやすい雰囲気。
何しろ私にとってははじめて見るモスク。礼拝室に足を踏み入れることはできなかったのだけど、入口の広間から左右壁面の装飾を凝視したり、天井のランプを見上げてみたり、興奮せずにはいられない。端から見たら挙動不審者のようだったでしょう。。(笑)
オールド・バザールへと続く、ブラチェ・フェイチャ通り。まだ開いてる店が少ない中、パン屋を発見。この渦巻き上のパンが、もちもちとした食感でとても美味しかった!
モスタルは昔から手工芸が盛んで、今も多くの職人がここに工房を営んでいるそうです。銅製品の土産物屋がたくさん。その中でも際立って素晴らしい作品を作っていたのがこの職人さん。本にも紹介されるほど有名な方のよう。あまりにも素敵な作品だったので自分用のお土産に銅板プレートを1点買ってきて、今は自宅のリビングに飾ってます。
ちなみに、ボスニア・ヘルツェゴヴィナの通貨はボスニアマルク(兌換マルク)。相場は全体的にかなり安め。ホテルや大きめなレストランなどではユーロも使えるけど、小さなお店ではマルクしか使えなかったりしたので銀行で外貨交換してみたら、出てきた紙幣が見事なまでにボロボロな札束で苦笑してしまいました。。。
ここは「トルコの家」という観光名所。1635年に建てられたトルコ風の民家で、オスマン・トルコ時代の生活様式を再現しています。トルコ人の寝床の小ささが印象に残った。
これはモスタル旧市街にあるもうひとつの有名なモスク「コスキ・メフィド・パシャ・モスク」。17世紀初めに建造されたもの。さっきのモスクよりも全体的に造りが小さいのだけれど、装飾が華奢で可愛らしくて、私はこっちの方が好きだな。
いつも必ず見学できるわけではないようで、最初に行ったときは礼拝堂に鍵がかかっていた。でもしばらその周辺をウロウロしていたら、ツアー観光客のグループがやってきて、そのガイドが鍵を開けてくれたので、彼らに混ざって入場成功!(笑)
簡素な装飾ながら、独自な様式美を讃えています。このやわらかな光と色彩の美しさ!