【クロアチアの旅(その13):スプリット旧市街(1)】
次に向かったのはスプリット。トロギールからバスに乗って、早1時間ほどで到着。
スプリットのバスターミナルは、長距離バス用(海岸沿い、スプリット駅の隣り)と、近郊の路線バス用(旧市街から北東に1kmくらい離れたところ)の2ヶ所が離れた所にあります。私がトロギールから乗ったバスは路線バス。バスターミナルが街の中心部から離れていることは事前の調べで知っていたものの、バスを降りた時点ではまったく方向がわからず困ってしまう...。スプリットの街は想像してた以上の大都市で、トロギールのこじんまりとした街の風情との違いに、最初ちょっと戸惑ってしまいました。
真夏のようなギラギラした日差しの下、重いスーツケースを引きずって歩いて、どうにか旧市街北側のストロマエロフ公園に辿りついてひと安心。。そしてスプリットの象徴的なモニュメント、グルギール・ニンスキの像にいきなり出会えて心ときめいた!
スプリット旧市街は、ローマ皇帝ディオクレティアヌスの宮殿がそのまま街になってしまったという、とてもユニークな街。かつての巨大な宮殿の外壁が、街を囲う城壁のようになっているのです。その様子は写真や映像で何度か見ていたけど、やはり実際に目の当たりにすると、そのドラマチックな景観に圧倒されてしまった...。幾世紀にも渡る時代と人の営みが複雑に交差し、積み重なっていくことで築かれた街並。
まずは宿に荷物を置いてから、旧市街南側の「青銅の門」に回ってみました。その門は宮殿地下へと通じる入口になっています。地下の通路には土産物のショップが両脇にびっしり並ぶ。そして大勢の観光客。
その通路の向こう側の階段を上ると、街の中心部となるペリスティル広場へと抜け出ると・・・広がる青い空の下に白い石柱とアーチが輝き、まるでローマ時代遺跡の中に迷い込んだような世界! その美しさに、しばし立ち止まってうっとり見上げてしまいました。。
広場の右手には荘厳な鐘楼と大聖堂。もちろん、あちこち修復を重ねているのでしょうが、遺跡の一部が壊れたままだったり、宮殿の外壁が途中で崩れてなくなっていたり、修復しすぎていないのが心地よい。
前庭では「クラパ」と呼ばれる男声合唱のコーラスのパフォーマンスが行われていました。無料で聴くにはもったいないほど素晴らしい歌声。でも、CD販売はちゃっかりと。
街の様子がなんとなくわかってきた時点で、お腹が空いてきたので遅めのランチ。葡萄の木が天井に生い茂っている、素敵なテラスのあるカフェで。
このお店でとても美味しかったのが、このシンプルなツナサラダ。野菜たちがどれもとてもみずみずしくって、そして味が濃いのです。このトマトの美味しさがとても印象深い。クロアチアは海産物だけでなく、野菜の美味しさも格別なのだと知りました。
スプリット旧市街の建築物は、様々な時代の建築様式が複雑混じり合っています。迷路のように入り組んだ路地を気ままにぶらぶら歩きながら、趣き深い街並をただ眺めているだけですごく楽しい。路地を曲がる度に、街の表情がガラリと変わるのです。路地のちょっと奥まったところや、建物のここかしこに、魅力的な装飾をたくさんみつけることができます。
そして陽が落ちると、にわかに街全体がロマンチックで幻想的な雰囲気に包まれます。メインの通り沿いには、たくさんのカフェやレストラン、土産屋が建ち並び、暗くなってからも街は活気に満ちていました。
宮殿の外側にも街は続いているので、ずっとぶらぶら散歩していてもまったく飽きることがありません。ただ、観光客の多さに辟易としてしまうけれど...。
左下の写真は宮殿西側の地区にあった映画館。
せっかくこんな素敵な街に来ているのだからと思って、旧市街のど真ん中にあるオープンテラスのレストランで食事をすることにしました。
ところが......このとき私は風邪をひいてしまっていて、長い時間夜風にあたったせいか、急激に体調が悪くなってしまったのです。テーブルに座った頃は最悪な気分...。せっかくの料理を楽しむ余裕もなく、途中で撃沈...。普通の状態で食べれば美味しい料理だったと思うのだけど。たぶん。
もう立っているのも辛いほど具合が悪くなってきたので、この日は早めの時間で切り上げて退散することに。ふらふらする足取りでどうにか宿に帰り着いて、倒れるようにベッドへ潜り込みました。
クロアチアへの旅の計画を立ててた時からずっと、スプリットへ来るのを楽しみにしてたのに......まさかのダウン。
kyoko
ニキータ・ミハルコフ絡みで、スプリットまで辿り着きました(笑)。実は、戦火のナージャをレンタルしようかどうか迷ってネット検索していたところ、こちらに辿り着き、楽しく他の映画評も読ませていただき、いくつかGEOのカートに入れ、旅行記を拝読したら楽しかったスプリットが。。。どうやら好みが似ているようで嬉しくなりました。話は飛びますが、ゲド戦記、今読んでいるところです。
ロシア映画、懐かしいです。私は68年生まれで、学生時代に巣鴨の三百人劇場のロシア映画特集とかに連日通ったのが懐かしい思い出です(誰も一緒に行ってくれる人がいなく一人だったけどワクワクしながら通ったものです)。愛の奴隷や黒い瞳などの有名どころも大好きですが、真摯に描いた戦争映画の良作の数々が心に残ってますね。
スプリット旅行では海沿いにずらっと並んだカフェにブランコ型の椅子がたくさんあり、大好きでした。微妙に揺れる椅子に座りながら海をボーッと眺めるのがとても気持ちよかった。もちろんローマ時代の遺跡は驚きの連続。ドブロブニクも圧巻でしたね。
最近はお金がないのと猫が2匹もいるのでずっと旅行できてません。と言いながら最近までアイルランドに住んでいたのでずっと旅をしているようなものですが。。。またブログ読ませていただきます。ありがとうございました。とても楽しかったです。お父さんのバラの絵、素敵ですね。最近油絵描いてなかったので、また始めたくなりました。
よこやま
kyokoさん、はじめまして!
とてもうれしいコメントをありがとうございました。すっかり放置しているブログなので、気づくのが遅くなって申し訳ないです・・・。
ニキータ・ミハルコフからスプリット、そしてこんな辺境のブログに訪れてくださったなんて!(笑)いろんな偶然のつながりですね。好きなものがいろいろ被ってるようでわたしも嬉しいです。年代も近いのですね。
「戦火のナージャ」は、正直あまり期待せずに観たのですが、なかなか良かったですよ。かつての圧倒されるほどの映像美、みずみずしい情感は希薄になっていますが、それでもやっぱりミハルコフだなぁって感じさせる部分がありました。
三百人劇場のロシア映画特集、というかソ連映画特集は、私も学生時代とかによく通いました。今のようにDVDやオンラインとかでいろんな国と時代の映画を気軽に見るのは難しい時代でしたので、劇場に通うことが一番のわくわくする刺激的な体験でした。
スプリットは本当に素敵な街でしたね〜。できることならもう一度、クロアチアの小さな街を歩いてみたいです。ポーランドの田舎町とかもすごく良かったですよ。アイルランドは、ずっと行きたいと思ってる国で、つい先日も海外によく行く友人と飲みながら話してる時に、次に行くとしたらどこ行きたい?と聞かれて「アイルランド」と答えたところでした。アイルランドで暮らしてたなんて、本当に羨ましいです。
最近はTwitterとかのSNSでつぶやくことが多くなってしまったので、更新は止まったままですが、またぶらりとブログに遊びいいらしてください。今後ともどうかよろしくお願いします!
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kyoko
こんにちは。また遊びに来ました(笑)。
「コーカサスの虜」観ました(こちらのブログで知った映画です!)。戦争の愚かしさが描かれていますが、同時に人間の優しさや愛を感じることができ、観終わった後には希望で温かい気持ちになれます。派手な暴力シーンや感情的なシーンがないのにビシッと普遍的なテーマが描かれているのが凄いですね。本質的でシンプルかつ素朴なのに、非常に洗練されている。心に残りました。
「戦火のナージャ」、まだ借りていなかったのですが、借りてみます。
ところでアイルランドですが。。。個人的には私は好きではなかったです。私は歴史的な建物や街並み、遺跡などが好きなタイプなのですが、アイルランドにはそういうものがないのですよ。欧州の果ての果てですからね。例えば、イタリアのような圧倒的な美は一切ありません。10年以上前ですが、ベルギーのアントワープにも住んでいたことがあります。中世の歴史の中を歩いているような高揚感は楽しかったですし、月並みですがブルージュやゲントも素晴らしい。フランスの田舎なども風情がありますね。
アイルランドはカトリックで、人々が田舎っぽいので優しいと感じる人は多いようです。あちらでワーホリをしていたドイツ人の女の子はアイルランドにぞっこんでした(ドイツ人は冷たいから嫌いだと言って。私も同感です)。なので、人との繋がりを楽しんでブラブラ旅をするには悪い場所ではないかもしれません。でもこれは私の感覚なので人それぞれだと思います。せっかくの良いイメージを傷つけてしまってゴメンなさい。
ポーランドやロシアも一度行ってみたいですね。でもポーランドのお写真を拝見すると「きれいで現代的すぎて」ちょっと拍子抜けでした。それはそうですよね、いつまでもショパンや戦争の被害国的な昔のイメージのままでいて欲しい、などというのは部外者の勝手な幻想です。
映画の話に戻りますが、「オーケストラ!」という映画はご覧になりましたか?きっとお好きだと思います。「ムッソリーニとお茶を」「海の上のピアニスト」などもオススメですがメジャーなのできっともうご覧になってますね。「ある天文学者の恋文」を今日見ましたが、結構良かったです。「八月の鯨」とかも好きです。
残念なのは、Yokoyamaさんのおすすめ映画の多くがレンタルにないこと。。。少しづつ楽しんでいきたいと思います。