【クロアチアの旅（その12）：トロギール旧市街（2）】
一夜明けると、トロギールの街はまったく違う表情を見せてくれました。
泊まった宿の部屋の窓から見渡した風景。並んで干してある洗濯物が淡い色彩のグラデーションになっていて美しい。昨夜ここへ来たときは真っ暗で様子がわからなかったのだけど、宿の周りにはこんな風に生活感のある風景が広がっていました。豪奢なホテルに宿泊して観光名所を見て歩くだけでは知ることのできない、街の裏側の顔。いや、これこそが「街の素顔」なんだと思う。
この宿は、住居の一部を宿泊施設として使っているのでしょう。建物の内側も外側も生活感たっぷり。家の真ん中には小さな中庭があって、塀を挟んで隣りの家の中庭へとつながっています。階段の踊り場にはテーブルと椅子が置いてあって、かわいらしいテラスのようになっていました。もっと日程に余裕ある旅だったら、こんな家でぼんやり外の景色を眺めながら、ビールやワインを飲んだりして一日のんびり過ごしたらどんなに楽しいだろうかと、ふとそんなことを想像してみた。
トロギールに一泊することにして、そしてこの宿に泊まって、本当に良かった。この中庭から眺めた風景に、トロギールの人の暮らしが垣間見えたから。
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旧市街の石畳の通りも、イヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場も、前夜とはまるで違う印象。朝の光が照らし出したトロギール旧市街は荘厳で美しく、そしてちょっと可愛らしい街並でした。
イヴァン・パヴァオ・ドゥルギ広場にある聖セバスチャンの時計塔。15世紀に建てられたルネサンス様式の建物。ずんぐりとした体裁で愛嬌がある。
トロギールを代表する建築物である、聖ロブロ大聖堂の鐘楼。13世紀に建造が始まったが、完成したのは17世紀になってから。そのせいで下部がロマネスク様式、2階から上の部分がゴシック様式となっている。ミサの最中だったので残念ながら聖堂の中には入れなかったけど、聖堂入口部分の壁面レリーフの造形が素晴らしかった。
聖堂の門にいたライオンの像。ライオンはヴェネチア共和国のシンボル。ザダルやシベニクと同様に、トロギールもヴェネチアに支配された時代が長かったようです。
再び「南門」を抜けて海岸側で出てみると、ヤシの木が並ぶ南国の世界。プロムナードの一番向こう側に見えるのがカメルレンゴの要塞。要塞の裏側には小さなサッカーのグラウンドがあって、かわいい子どもたちがサッカーに勤しんでいました。
海岸通りに沿って、色とりどりのカフェテラスがずらりと並んでいる。その中から適当に選んだ店で朝食をとることに。二人でそれぞれ選んだのがこのプレート。まぁ、見た目にあまり特徴はないのだけど・・・食材が新鮮で美味しかったかな。
面白かったのが、この赤い紅茶。「Tea」と頼んだら、この赤いお茶とレモンと蜂蜜1パックと砂糖（2本）がセット出てきてびっくり。これ全部入れるの？と戸惑っていたら、店員さんが順番に入れていってくれました。。蜂蜜まで入れるのはいかがなものかと思ったけど、実際に入れてみたら風味が増してとても美味しい。さすがに砂糖2本分は入れなかったけど。このお店ではこれが基本の「Tea」だったけれど、他のお店では「Fluite Tea」という言い方をして、普通の紅茶と区別していました。
お腹いっぱいになったところで、散策再開。これはドミニコ修道院の中庭。壊れたレリーフなどが無造作に並べてあって、そのあまりのなげやり感が心地よい。。
北門を入ってすぐのところにあったトロギール博物館。時間がなくなってしまったのでざっと見ただけ。ここにもギリシャ時代の遺跡などが無造作に並べてありました。トロギールは紀元前2〜3世紀に古代ギリシャ人によって建設された植民都市で、その以前には先住民族のイリュリア人が住んでいたそうです。ここにあるユニークな造形のレリーフを見ていると、先住民族が残したものが何らかの形で引き継がれているように感じます。
島をぐるりと一周し、本土側へとつなぐ橋を渡ると、その先の広場では青空市が開いていました。お土産品だけでなく、食料品や衣料品など生活必需品も多数。旅先ではこういった地元ならではの市場を覗き見るのが、何よりの楽しみ。
お土産などをすこしだけ選んで買い物。おばあさんが売ってたラベンダーの匂い袋とか。正直な話、クロアチアの土産物屋に魅力的なものは少ない...。
左の女性が持ってる大きな円盤は、素朴な味のパン。右の写真のキレイなボトルはハーブのオイル。この時は使い方がイマイチわからなくて買わなかったのが悔やまれます。。
観光名所のあるスポットを離れて少し奥へと入ってみると、ゆったりとしたのどかな田舎町の風景が広がっています。トロギール旧市街はとても小さなエリアだけれど、たくさんの魅力がぎゅっと詰まった、本当に素敵な街でした。今回の旅の中で一番気に入った街。いつかまたここに来ることがあれば、その時はもっとゆっくりここに滞在してみたい。
ずっと同じ路地で昼寝してた猫に、「さよなら。また来るね」と言っておいた。