【クロアチアの旅(その10):シベニク旧市街】
シベニクの街にも、歴史の深さを感じさせてくれる建造物がたくさん残っています。その中でも傑出しているのが、世界遺産でもある「聖ヤコブ大聖堂」。中へ一歩足を踏み入れた途端、その重厚な美しさに思わず息をのみました...。今回の旅の中で、私にとっては一番感銘を受けた教会。
聖ヤコブ大聖堂は15世紀半ばから16世紀半ばにかけて、120年以上をかけて建造された聖堂。煉瓦や木の支柱を一切使わず、石材のみで建てられた教会建築としては、世界で一番大きいものなのなのだそうです。完成までに長い歳月を費やしたために、建設責任者や職人が何度も入れ替わり、途中から建設計画も変更されたため、聖堂の下部はゴシック様式、上部はルネサンス様式となっています。
聖堂内に張りつめる荘厳な空気に圧倒されるよう。ふと、タルコフスキーの映画の一場面を連想してみたり...。
洗礼室の天井部分にあった、三位一体のレリーフ。重厚で美しい陰影。
聖堂の外壁は、たくさんの人の顔で装飾されていました。おどけた顔や、しかめ面の顔、威厳のある顔もあれば、いかにもずる賢こそうな顔もあったり・・・様々な表情の72人の頭部。当時、実際にいた一般市民の顔ではないかと言われているそうです。
大聖堂の隣りのレプリカ広場。左側にある建物は市庁舎。1階はレストランになっています。16世紀、ヴェネチア共和国の時代には、ここに市議会が置かれていました。
市庁舎の脇の階段を登っていくと、中世の時代を感じさせる石造りの世界へと引き込まれていった。シベニクの街は階段や坂が多く、細い路地が複雑に交差するので、ただ歩いているだけでとても楽しい。路地を曲がる度に、景観がどんどん変わっていくのです。
迷路のような路地を当てもなく歩いていたら、オープンテラスの素敵なレストランがあったので、そこで少し遅めのランチ。
左の写真はSalt Fishと書いてあった前菜。その字の通り、塩漬けの魚なんだけど、ものすごくしょっぱい...。最初一口食べて「もういいや...」と思ってしまったくらいに。でも食べていくうちに美味しく感じてくるから不思議。クセになる味。それと、この特徴なさそうなシンプルなパンがとても美味しかった。クロアチアで食べたパンはだいたいこんな感じで、無造作にカットしたものがテーブルに出てきます。
正直な話、シベニクでは聖ヤコブ大聖堂だけでも見られればいいと思っていたのだけど、実際に街を歩いてみると、とても味わい深い素敵な街でした。いつか写真集で見て憧れた、イタリアの田舎町のような情緒ある佇まい。
おじいさんとそのお孫さんでしょうか。散歩してる二人の様子がほほえましかったので後ろからそっと見ていたら、おじいさんがふりかえってにっこり微笑んでくれました。
クロアチアではどこへ行っても、猫たちが我がもの顔で悠々と歩いてる。。
シベニクの街があんまり心地よいので長居してしまった。陽が落ちてきたので、急いでバスターミナルに戻って荷物を引き取り、次の目的地トロギールへ。