これも少し前の仕事ですが、「クジラと日本人の物語―沿岸捕鯨再考」という本の装丁デザインをしました。本文のフォーマットや扉等のデザインもしています。表紙の絵は私の絵ではありませんが、帯の波のイラストは私が描きました。このイラストは本文目次でも使ってます。(下のイラスト、クリックで拡大します)
あえて文芸書っぽいテイストのデザインにしましたが、中身は非常に真面目な…というか、ちょっと固めな内容です。けれども、しっかりとした学術的な見地から記述された読み応えのある文面で、資料価値も高い本です。クジラと人間との関係を、多角的、歴史的に掘り下げ、そして世界各国あるいは日本国内の地域毎の差異に留意しながら、クジラや捕鯨についての文化を総体的に論じています。「日本人がクジラ食って何が悪い!?」とか「クジラは賢くて希少な生命だから保護すべきだ」などという紋切り型の主張ばかりでなく、まずは自分の思い込み(政治的な思惑に、いつの間にか影響受けてる場合も多いかと思います)を外した上で、もう一度捕鯨について考えてみることは、私たちにとって大事なことではないでしょうか。
ちなみ私自身は、できることならこれからもクジラを食卓で美味しくいただきたいとずっと思ってるし、不合理な根拠や思惑でその機会を奪われたくないと思っています。もう一度この本読みながら、自分なりにじっくり考えてみたいです。
★クジラと日本人の物語―沿岸捕鯨再考