「ムーミン展」に行ってきました


 
大丸ミュージアムで開催されていたので観に行って来ました!

03_photo-1.jpg私はムーミンの物語以上に、トーベ・ヤンソンの描く絵が大好きです。絵のタッチを真似したくて、何度か模写してみた時期もあったくらい。今回はじめて原画を見ることができたのだけど、想像以上に素晴らしく、原画で見るペンの描線はすごく繊細で美しかったです。描いている情景によって様々なタッチを織り交ぜてあって、場面の空気感まで描き出しているのです。夜の暗い森の場面では太めな重い描線で描かれ、霧が立ちこめるシーンではとぎれとぎれの細い線で描いてあって、走っているシーンでは流れるような鋭い線が勢いよく画面を駆け抜けて・・・という具合に。

ちょっと意外に思ったのは、原画がとても小さく描かれていること。こんなに細かい部分まで描き込むのなら、もう少し大きなサイズで描けばいいのに、と素人考えに思ってしまうのだけど、きっとその小さな画面だからこそ凝縮されて生まれてくる世界があるのでしょう。

私は展覧会で作品を観るときはいつも、その作品が描かれた制作年を気にかけるようにしています。傑作を数多く世に残した画家たちも、必ずその人の転機となるような一年があって、その時期に代表作となる傑作が集中して生まれていることが多いのです。その一年の前と後では、作品の性質ががらっと変わってしまう場合もあります。飛躍的に良くなることと、悪くなってしまうことと、両方のケースがありますが・・・。と言っても、その判断はまったく自分の独断と思い込みによるものなので、何の根拠もありません。自分だけの楽しみ方です。。

01_photo-1.jpg今回の「ムーミン展」を観ながら、私が注目したのは「1957年」でした。その年に描かれた作品に、私にとって印象に残る作品がとても多かったのです。初期の頃は、どちらかというときっちりと、下絵を元にペン入れしてる印象なのですが、1957年頃を境に、ラフな描き方を多用するようになり、ペンの走りが勢いを増しています。モチーフをきちっと描き込むことよりも、場面の雰囲気や心理描写を描くことに、トーベ・ヤンソンの関心が移っていったのではないでしょうか。初期の頃から天才資質を発揮した優れた挿絵を数多く残していますが、1957年以降、一枚の絵としての完成度が更に高まっていったように感じました。

大丸ミュージアムって、私は今回はじめて行ったのですが、とてもちゃんとした美術館でびっくりしました。作品数がすごく多くって、とても充実した内容でした。カタログも良くできていました(DVDもついて1800円。お買い得です!)。あと、併設されたショップでのムーミングッズが大変な充実ぶり。まんまとその術中にはまった私たちは、両手いっぱいにグッズや本を抱えてレジに向かったのでありました。。

東京での開催は今月18日(月)まで。とても素晴らしい展覧会ですので、気になった方はお見逃しなく!

★ムーミン展@大丸ミュージアム http://www.daimaru.co.jp/museum/tokyo/moomin.html