もう終わってしまった展覧会なのですが、もう一つ活字の展覧会に行きました。渋谷PARCOのロゴスギャラリーで開催された「印刷解体 Vol.3」という展覧会。マイミクさんの日記で教えていただいて、ちょうどその日渋谷に出る用事があったので、ちょこっとだけ覗いてきました。
http://www.parco-art.com/web/archives/logos/insatsukaitai_3/
「活字」と「活版印刷」の魅力にスポットを当てた展覧会。ロゴスギャラリーは、PARCOの地下、本屋さんの一角にある小さなギャラリーなのですが、その壁面には本物の活字棚がずらりと並べられ、和文・欧文の各種活字がぎっしりと詰め込まれていました。さながら昔の印刷所の風景のよう。活字は展示だけでなく販売もされていて、ギャラリーに訪れた若いお客さんたちがピンセットを使って、小さな活字を一生懸命拾い上げていました。とても壊れやすい大事なものを扱っているようで、後ろから見ているとそんな姿がとても愛らしかったです。
ギャラリーには活字周辺の道具なども展示販売されていたのですが、その他に古い印刷物、印刷見本や図案集、チラシ、雑誌、マッチ箱、明治〜大正の頃の教科書などもありました。私はそっちの方が楽しくて、古い印刷物をがさごそと探っておりました。その日は別の用事で急いでいたし、財布の中にあまりお金入ってなかった(いつもですけど・笑)ので、「今日は見るだけ。絶対買い物はしない!」って心に決めていたのですが・・・いや、やっぱりだめですね。こういうの見ると買わずにいられなくなります。見始めるとどれもこれも欲しくなったのですが、時間がなかったので、勢いでえいっ!と気に入ったものを3点だけ選んで買っちゃいました。
これは大正〜昭和初めくらいの楽譜。昔の楽譜はこんな風に、片面に挿画が入ってデザインされたものが流行ったのです。夢二が描いたセノオ楽譜は有名で、楽譜に興味ない人も、その絵に惹かれて買い求めたようです。当時の女学生たちは夢中だったそうですよ。最初ぱっと見たとき「あれ、夢二のセノオ楽譜?」って、一瞬思ったのですが、違いました。でもレタリングとか、かなり夢二を真似して描いてておかしいです。
上の2枚は1920年代頃のフランス(?)の印刷物。その年の優秀な印刷物のデザインをピックアップして本にまとめた、今で言う「印刷年鑑」のようなもののページの一部なんだそうです。当然ながら活版印刷。何かのラベルなんだと思うのですが、どれも創意工夫があって、上品で美しいです。見れば見るほど愛おしくなってしまいます。他にもたくさん欲しいものあったのですが、この2枚が素朴で気に入ったので買ってしまいました。それぞれ1枚1000円でした。
興味ない人にはゴミと変わらなく見えるかもしれませんが、私にとってはこれも大事な宝物。ときどき引っ張りだして眺めては、ニヤニヤして楽しみます(笑)
下の写真は展覧会とは関係なくて、古い付き合いの印刷所で撮らせてもらった活字の写真。そこでももう活字は使われてなくて過去の遺産なのですが、役目を終えた古びた活字たちが工場の片隅で、今もひっそりと眠っているのです。。。
uehara
生意気に最初にコメントしてみなさまゴメンナサイ。
いいですよね、こういう古い印刷物って☆
じつは今チョコレートのパッケージデザインを考えてまして、もちろん最終的にはプロの方にお任せますが。
古い印刷物、カタカナとローマ字、この楽譜がイメージにがピッタリなので♪
お先に失礼しました。
よこやま
>ueharaさん
一番目のコメントありがとうございます!
私もよそのブログに書き込みさせてもらうとき、一番目って少し気後れしてしまったりします。あ、でもここはお気軽に、なんでもコメントしてくださいね。
ueharaさんのチョコレート、ちょっとレトロな雰囲気のパッケージがすごく合いそうですね!どんな風に仕上がるのかすごく楽しみです。いつ頃展開予定でしょうか? 大谷石ショコラ、本当においしかったので、ここで皆さんにも紹介できる日が、すごく楽しみです。
*ミトン*
素敵な色使いと美しい文字ですね~
うっとりしちゃいます。
また宝物が増えましたね♪
東京では色んな展覧会があって本当に羨ましいです。
ジャムサンドさんのブログで
行く事の叶わない味わい深い展覧会の報告を読むのが
楽しみのひとつなんです。
また色々紹介して下さいね。
役目を終えてひっそりと眠っているような活字たち
少しもの悲しいですね。
そういえば今思い出したんだけど
昔印刷屋さんでアルバイトしていて、
活字を拾ったことがありましたよ!
なんで今まで忘れていたんだろう?
この写真を見て思い出しました。ありがとうございました(笑
seiji
なんていうんですか、文字の形と縁の部分の装飾は素敵ですねえ。(なんて言ったらいいかわからず)
活字も壮観です。
プランタンを思い出します。あのビデオの制作に関われたのは私の中ではとても誇りになっています!
よこやま
>ミトンさん
ええっ!活字拾いの仕事したことあるのですか?
それはなかなか貴重な経験。でもほんの10年くらい前まで活字って印刷の現場ではよく使われてたんですよ。本とかではなくて、名刺とかカード印刷とか、場面は限られていましたけど。
この活字は、その印刷の先代の親方が大事に使ってた活字だったんです。
その親方は数年前にお亡くなりになったのですが、息子さんたちはなんとなく処分する気になれなくて今も残してあるんだと思います。
印刷の現場がコンピュータ主体に切り替わっていく最中、
その親方が「活字がなくなっていくのは寂しい・・・」
ってつぶやいてたのを思い出しましたよ。。。
東京は確かにいろんなジャンルの展覧会たくさんやってますが
数が多すぎて情報が届かなかったり、行く機会逃したりしてしまいます。
最近さぼってばかりでしたが、また面白い展覧会見つけて、
ミトンさんにもご紹介しますね。
よこやま
>Seijiさん
昔の印刷物って、やっぱり文字周りが丁寧にできてて素敵ですよね。
飾り罫も、デジタルで作成すると整いすぎてしまって味がでません。
やっぱりアナログの要素とデジタルの要素のバランスが大事なんだなって思いますね。
プランタンの映像制作は、ホントに貴重な体験でしたね。誇りに思って余りあることだと思いますよ。良い作品はずっと残り続けますからね。
ロッキー
あ~この箱、印刷ってこんなだったんだなとしみじみ感じますね。
こんな風景、あと10年後、見られるんでしょうか。
まあ、茨城では見られそうですな。
情報過疎地では・・
よりこぐま
最後の写真、よだれがでしょうです。
(↑ろれつもまわってない)
活字、友達の分(なまえ)も勝手に買って送ったり
したのですが、普通のはんこのようにしかおせず
(当たり前か?)いかに「活字風」に押すか?の
試行錯誤中!笑
しかし、あの人(活字)の海の中から意中の恋人(文字)
を探し当てるなんてほんと、すごいことです・・・
どれにしましょうか♪って適当に選ぶわけにもいきませんし。^^;
よこやま
>ロッキーさん
懐かしいですよね?こういう光景って。
でもちょっと前まで、印刷の現場では当たり前の風景でしたよね。
ほとんどの場面がデジタルのフローに切り替わってしまってちょっと寂しい気がするのですが、美術品としてはともかく、商業印刷の場面で活字を使うことはもう考えられないですからね・・・。でも案外、活版印刷に関心持ってる若い人たちがいるので、何かしらの形で活版印刷や活字は残っていくかもしれませんね。
茨城の活字、ぜひ文化遺産として残してください!(笑)
よこやま
>よりこぐまさん
こらこら。印刷所でよだれたらしてる人いたら職人さんに怒鳴られますよ(笑)
そんなに活字が好きなんですねー。筋金入りのはんこ好きだから?
この写真撮った印刷所は神楽坂の外れの方にあるので、見てみたかったらご案内しますよ。よだれたらさないって約束してくれたら(笑)
ちなみに、活字じゃなくて普通の活版の版なら、割と安価に、簡単にできますよ。手書きの文字とかでも活版の版つくれます。樹脂を使った版と、亜鉛を使った版があります。
ロッキー
茨城の活字、文化遺産と言うよりは、負の遺産という趣が・・
単に時代についていけなかった結果のような気がしますが。
よこやま
>ロッキーさん
まぁまぁ、そうおっしゃらずに(笑)
現場にいた人間としては、活版って美しいものというよりも、実際にはインクのにじみやかすれや、泣かされることたくさんありましたもんね。
私の前の会社の下請けで、活版の名刺印刷屋があったのですが、そこのオヤジさんはいちはやくMac取り入れてました。奥の畳の部屋のちゃぶ台にMac乗せてて(笑)