バタバタしてるうちにあっという間に一週間経ってしまいましたが、先週「文楽」を鑑賞してきました。私にとっては、はじめての体験でしたし、文楽についての見識は何も持っていないのですが・・・とにかく面白かったです!
今回私が観たのは「天網島時雨炬燵」という演目。愛し合う男女が様々な世事上や人間関係に翻弄されながら、義理を立て、道理を通そうとするうちに、結局は心中へ至ってしまう悲劇の物語です。観始めのうちはどうも調子がつかめず、義太夫節の台詞も聞き取りにくくて、舞台の袖に表示される字幕(?)についつい目が行ってしまって、作品世界になかなか入っていけませんでした。でもしばらく観てるうちに独特な語りの調子も耳に馴染んで来て、繊細で優雅な人形の動きにすっかり見入ってしまうのでした。ストーリーの細かいところとかはわからないままのところも多かったですが、そんなことは文楽の世界を鑑賞するのにさほど大事なことではないようです。ニ転三転していくストーリー展開の面白さ、激しい情念のこもった言葉の力強さに、ただただ魅了され、圧倒されっぱなしでした。
この「天網島時雨の炬燵」は、女同士の「義理」の悲劇を描いた作品ということで、人形の操り方に派手な動きは少なくて、それよりも何気ない身のこなしや、感情の機微を巧みに表現した細やかな演技に見所がある印象でした。登場人物達の台詞の掛け合いが、三味線の音色・リズムと一体となって、次第にドラマとしての高まりを見せていく演出も見事でした。観終わってしばらく経った今も、台詞の心地よい感触が頭を離れません。「あんた、そりゃあんまり情ないわいな」「それで道理は立つかいの」ってな感じの、「〜わいな」「〜かいの」という丸みのある言葉の感触が、もうすっかり気に入ってしまいました。あらためて感じた、美しい日本語の世界。そして濃厚な情のこもった世界。こういうものって、忘れちゃいけないですね。
で、実は今回一緒に観に行った友人の一人が、演者に知り合いがいるということで、なんと幕間の時間に楽屋へ遊びに行かせていただいたのです。短い時間でしたが、人形を間近で見せていただいて、舞台裏も覗かせていただいて、もう、大興奮で感激しまくりでした(笑)。興奮し過ぎであまりちゃんと撮れなかったのですが、その時撮影させていただいた写真をいくつかアップしてみます。
美しい人形達をこんなに間近で見ることができました。実際に目の前で動かし方を教えていただいたり。貴重なお話をたくさん聞かせていただきました〜。
これは“舞台下駄”。一体の人形に三人の遣い手がつくのですが、手足でそれぞれ違う位置から操作をするために、このような高さを調整する下駄を履くのだそうです。役者さん達一人一人が自分の下駄を持っていて、舞台と役に合わせて選んで履くのだそうです。さすがにすごく使い込んであって、いい味を醸し出してます。これを間近で見れたのも感動ものでした。
文楽、本当に面白かったです。また行きたいなぁ。
ミナ
お久しぶりです。
文楽ですか!いいですね!
まるで生きているかのように見えてくると、噂はよく耳にします。
時間と手間をかけて作られた人形と修行を積まれた演者たち・・・日本の文化って何て素晴らしいんでしょうね!
私も一度観に行ってみたいです。
よこやま
>ミナさん
おひさしぶりです! といってもブログはちょくちょく拝見させていただいてますが(笑)
まさに幸せいっぱいな今の感じが伝わってくるようで、読んでいてこちらまでうれしい気持ちになります。ブルーな気分も幸せの裏返しでしょう。うらやましいです!
文楽、恥ずかしながら私は今までよく知らなかったのですが、今回観る機会があって本当によかったです。すっごく面白かったですよ。日本の文化、というか、どの地域の伝統的な文化は皆そうだと思いますが、やっぱり素晴らしいものがありますよね。日本にいながらこういうものに触れていないのは、本当にもったいないことだと思いました。
文楽、ぜひ観に行ってみてください。早めに予約すればちゃんと席取れるみたいですよ。
山造
仰るとおり、我々は自分たちの足元も知らず遠くばかり見ているんでしょうね。
それにしても写真で見るだけでも人形の繊細さにはため息が出ます。(もちろんジャムさんの腕のせいも!)
表情の変わらない人形を動きだけで感情を繊細に表現させるというのはすごいことですね。
よこやま
>山造さん
写真ほめてくださってありがとうございます! 被写体がいいと、どんなにヘタクソに撮っても見栄えがしますよね(笑)。人形は間近で見ても、本当に美しかったです。生きてるんだなぁって感じますね。揺るぎない伝統と技術、そしてたくさんの職人さんたち、芸人さんたち、裏方さんたちの情熱によって、生命の息吹が吹き込まれてるんだって思います。。。
Ken E Bee
写真、いいね。おいらのはだめでした。
次回はちなみに5月で、「義経千本桜」。よく知らないけど、これは歌舞伎にもあって、主人公が途中で狐に変身したりする演目。近松の心中系とも違って派手なアクションがあるかも。早めにチケットとっていい席で見ましょう。
それと、今度は休憩の時間に弁当食いたいですね。
よこやま
>Ken E Beeさん
この間はホントにありがとうございました! 感謝です!!
楽屋裏は駆け足でしたが、ホントに貴重な体験でした。ああいう場面ではやっぱりデジカメが重宝しますね。少なくとも私のG1は使えなかった気がします。。。
文楽は話に聞いてた以上にすごかったです。心中へとひた走るクライマックスで、5人くらいの三味線の音色が多重に折り重なって高まっていく感じは、「これって、ほとんどサイケの世界!」って思いました(笑)。伝統的な文化って保守的な側面で語られることが多いですが、ああいう攻撃的な、アバンギャルドな部分をもっと評価すべきですよね。
「義経千本桜」、ぜひ行きましょう! 楽しみです。弁当も楽しみ(笑)
ギロチン
あああ、心底いいなぁと思ってしまいました。
正直、ちょっと凹んだほど、うらやましいです(大げさw)。
ちょっと気になったのですが、一番上の写真の真ん中にある、白い二等辺三角形みたいなものは何でしょう??
よこやま
>ギロチンさん
ふふふ〜。本当に良かったですよ〜。楽屋に行けるなんて思ってもみなくて、夢のような体験でした・・・。文楽、ギロチンさんもぜひ観に行ってみてください。きっと気に入ると思いますよ。文楽の義太夫節が今も頭の中ぐるぐるしています。あの節回し、しばらく病み付きになりそうです(笑)
写真の真ん中の三角のやつ、私もずっと気になってたんです。写真のノイズなわけないし。何かしら霊的なものを写してしまったのかと思ったり(笑)。さっき写真を拡大してみてやっとわかりました。壁が手前に突き出してる部分の後ろっ側に、何か白いふすまのようなのが斜めに立てかけてあるようです。これって幕間の間に舞台裏覗かせてもらった時の写真なので、舞台をまだセットしてる最中だったんだと思われます。私もちょっとすっきりしました(笑)
ギロチン
ははあ。なるほど。ぽん!(ひざをたたく音)
壁に隠れちゃってるんですねー。すっきりしました(笑)。
よこやま
>ギロチンさん
すっきりしてもらえてよかったです(笑)
文楽は国立劇場とかで観られますよ。ネットからも予約できるようなので、ぜひ。
http://www.ntj.jac.go.jp/cgi-bin/pre/s_top.cgi?type=1
*ミトン*
こんにちは
「文楽」といえば
北野武の映画「Dolls」で印象的に
使われていたことくらいしか、
無学なもので・・ごめんなさい。
でも、魂が宿ってますね。
写真からでも
鬼気迫るものを感じます・・・。
良い体験をされたようで羨ましいです★
よこやま
>ミトンさん
いえいえ、私も今回はじめてちゃんと観たのです。
なんとなくこういうものって思っていたものと、実際に直で観るのとはまったく別物でした。音楽も演劇も、やっぱりライブが一番ですね。そうでなければ伝わりにくいものがあるのだと、今回あらためて感じました。
映画だってやっぱり映画館で観た方が。感動は大きいですものね。
文楽、本当に良かったですよ。機会あったらぜひ観てみてください!