12月5日開催の 「沢井一恵リサイタル・箏の群』(沢井一恵さんの箏の演奏、素晴らしい…というか壮絶です! 圧倒されます! ぜひたくさんの方に聞いていただきたいです。詳細、またご案内します)のポスター制作のために、調布にあるシルクスクリーンの工房に行ってきました。この工房に行くのは今回で2度目。前回はB1のポスターを制作しましたが、今回は会場展示用のB2のポスターを作りに行ってきました。
最近は大判のポスターもオフセットで作るのが当たり前になっていますが、今回はあえてシルクスクリーンという印刷方法こだわりました。ポスターを単なる宣伝用の素材としてだけではなく、ひとつの表現、ひとつのアートとして制作するというのが今回のコンセプトだったのです。シルクスクリーンは大学時代、美術部での活動で何度も取り組みましたが、今回仕事としてシルクスクリーンの制作に関わってみて、あらためてその表現の可能性、面白さを知ることができ、とても刺激的な体験でした。
シルクスクリーンのこと知らない方のために、制作の工程をちょっとだけご紹介します。
シルクの版を制作するにはまず製版用のフィルムが必要です。このフィルム自体は通常のオフセット印刷用のフィルムと同じもので、その制作の工程も同じです。
これができあがったシルク印刷用の刷版。私が大学時代に使ったものは木枠にシルクを張りましたが、さすがに業務用、アルミ素材のものでした。このシルク版(シルクと言ってますが、現在は一般的にナイロン)に感光材を塗って、フィルムを重ねて光源を当てて感光させ、その後水洗いをします。光が当たったところは固まって膜面となり、光を遮られた部分は水に溶けて洗い落とされます。こうして印刷用の版が出来上がります。
シルク版を台に固定して、紙を置く位置を決めます。この時の位置決め方や高さの調節など、一見簡単なことのようでも、かなりの熟練の技が必要な様子でした。
シルク印刷用のインク。たくさんの色数のインク缶からインクを少しづつ混ぜ合わせて求められる色を作っていきます。まぁ基本的には絵の具の混色と同じですね。でも混色の判断や手順が悪いと大量のインクが無駄になってしまいます。固さの調節に溶剤を混ぜるのですが、その配分のバランスが私ら素人にはなかなか真似できない感じです。
スキージーという大きなヘラみたいなものを使って、こうやって1枚1枚手で刷っていきます。大きな刷面の時は二人掛かりで刷ったりもします。結構力がいる作業で、力だけでなく均一な圧の掛け方がとても難しいのです。前回行った時に私もちょっとだけやってみましたが、とても緊張しました。。。
そしてこれが刷り上がった完成品!(あともうちょっとインフォメーションが入ります)
インクの質感がオフセット印刷とは全然違って、なんというか、「もの」としても存在感が濃い感じがします。紙の質感、インクの質感、色が重なったところの盛り上がった感じ・・・じっくり見入ってしまいます。ぜひ実物を見ていただきたいなぁって思っています。公演会場で貼られてると思いますので、お越し下さった方ぜひ見てみてくださいね。
シルクスクリーンって、本当に面白いですよ!
yae
家庭用シルクスクリーン製版機『Tシャツくん』というのを持っていて、たまに遊んでいるのですが…、見学なんてうらやましすぎです!素敵なポスターですね♪
宮内幸浩
シルクスクリーンのポスターを、一点だけ所有しています。
1998年に下北沢ザ・スズナリで上演された、「毛皮のマリー」
(寺山修司作、J・Aシーザー演出)のポスターです。
宇野亜喜良さんのイラストが、とても美しいポスターです。印刷を
担当されたのは360°グラフィックスの伊丹裕さん。シルクスク
リーンの世界では有名な方なのでしょうか?横山さんは御存知です
か。
匿名
J・Aシーザー、すごい!!
J・A・シーザーの世界―「天井桟敷」「万有引力」の生きている伝説 っていう本が白夜書房から出ていてCD付き!!
値段もちょっとお高いですね。
よこやま
>yaeさん
シルクでTシャツづくり・・・楽しいですよね!
『Tシャツくん』も、業務用のシルクの製作工程も、基本的には同じなんですよ。
シルクのことはこれからもいろいろ関わって行きたいと思ってるので、いつかシルクスクリーンのワークショップとか企画できるといいなぁとか思ってます。
>宮内さん
書き込みありがとうございます!
宮内さんは演劇も詳しいのですか?? 下北のスズナリ、友人の演劇観に、私も2〜3度行きましたよ。J・Aシーザー演出の「毛皮のマリー」は、私もチラシを見て面白そうだなぁと思ったまま、結局見逃してしまいました。残念。
360°グラフィックス、なんとなく聞いたことがある気がするのですが、デザイナーの名前や事務所名って、私は全然覚えられなくって。でもきっと素晴らしいポスターなんでしょうね。シルクのポスターはたくさん作ってないと思うで、きっと価値が上がると思いますよ!
>Anonymousさん
え〜っと、匿名になってしまってますが、私の知ってる方でしょうか?
J・A・シーザーって、寺山修司の映画の音楽をいつもやってた人ですよね。
「天井桟敷」の舞台、寺山修司が生きてるうちに一度見てみたかったのですが、今や伝説としてしか知ることができないのが残念です。その時代の空気に私も立ち合ってみたかったですが。あ、そういえば家のどっかに「演劇実験室・天井桟敷」ってビデオがあったの今思い出しました(笑)。家帰ったら探してみよう。
宮内幸浩
寺山修司さんやJ・Aシーザーさんは好きなのですが、
巷で人気の劇団などは観に行かないですね。
演劇好きとは言えません。
安月給なので、チケット代より書籍代を工面するだけで
精一杯です(^_^)
よこやま
>宮内さん
ご自宅に所蔵の本・・・相当な量だと想像します(笑)
私は最近本屋(古本屋含めて)に出入りする機会がめっきり少なくなってしまいました。でもなぜか事務所も本でいっぱいになりつつあります。。。
あ、そうそう先日さべあのまさんにお会いしましたよ。感激しました!
ここのつながりです→http://www.geocities.jp/rakugaki_kan/
宮内幸浩
おお〜っ!!
さべあのまさんですか!それはうらやましい。
文庫版の全集が出ていますが、チクマ秀版社さんにでも
カラーイラスト集をお願いしたい所です。
よこやま
さべあのまさんのカラーイラスト集・・・私も欲しいです。
私は何も権限ないですが(笑)いちおう今度ポソッと話してみますね。
とりあえず、来年は星野之宣さんの画集が出ますよ。
いろいろ楽しみな計画進行中のようです。
http://www.chikuma-shuhan.co.jp/books/special/l-a/
↑ここ、ときどきチェックしてみてくださいね。
まろろん
え~~~。星野さんの画集ですか!!!!!
最近星野さんの漫画も見てなかったです。
子供の頃、一番好きな漫画家でした。永久保存版として、ビニールに包まれて本棚に入ってます。(笑)
「ヤマタイカ」の後からはちょっと離れてましたが、
懐かしい・・
よこやま
>まろろんさん
星野之宣さんのファンだったのですか?ちょっとびっくりです。女性で星野さんのファンって少ないですよね。でもまろろんさんなら・・・なんとなくわかる気がします(笑)。
私はファンという程ではなかったのですが、やっぱりあの絵のうまさ、シリアスなSFの世界は、憧れの対象でした。私が中学〜高校の頃(80年代)、絵のうまい漫画家って聞かれたら、漫画を知ってる人なら必ず星野さんの名前を上げてた気がします。懐かしいですよね。
私もまたひさしぶりに読み返してみたくなりました。良い本になるようがんばってみますね。